ライバルは26才

とり子は写真家の先生のアシスタントをしながら、もう一つ仕事をしなければならない。 おばさんなのに、フリーターだ。のんきな人生だ。気持ちは切羽詰っているのだけど。ちょっと背伸びをして就職活動に励む。もう、若くないのだし、何でもできるというわけ…

トラツグミ選曲

ツグミという鳥は冬になるとよく見かける。 田や畑、広い原っぱでつ、つ、つと歩く姿をとり子は飽きるほど観察したことがある。 先生に話すと『ツグミは歩かないよ、ちょんちょん、はねているんだ』と、言われたことがある。 さて、トラツグミ、という鳥は、…

アトリエ

とり子はアトリエで板にニスを塗った。 昔この辺りは別荘地として開発が始まった。 たくさんの人が電気も水道も通っていない山の中に土地を買ったのだ。しかし、住めるようにするには、ここは少し手間もお金もかかりすぎただろう。とり子がこのアトリエに来…

雨降りは家におりましょか。

小さな幸せで人は幸せになれるのだろうか。 田舎に住んで、人生特に大きな事件も起きないし、この先、私は、大金を手にすることもないだろう。宝くじを買うことだってケチって節約してしまうんだから、当たる確立は皆無だ。 この人生は、はたして幸せなのだ…

鳥の宿命 ハッカチョウ

朝夕に秋の気配を感じる10月。 とり子は住んでいる地区のクリーンキャンペーンに参加していた。 この辺りは程よく田舎だ。なんちゃって、本当はド田舎だ。 目の前には田んぼが広がっていて、いつもハトやカラスやサギ、ヒヨドリがいる。 季節によってイソヒ…

ヤマセミ

とりこ、なぜか鳥に興味を持ち、鳥の写真を撮る先生のもとで鳥について勉強中。 現実は、アシスタントにもなれない、まだまだ素人なのだけれど。 先生は変わり者で、役に立てない私を怒りもしない。 いつだったか『私、褒められて伸びるタイプです』なんて言…

ひばりの巣発見

とりのとり子。野鳥カメラマンの先生のアシスタント見習いだ。 新緑も濃くなり始める6月。 徳島県のとある神社にフクロウの撮影に行った。 神社の境内に大きな木があって、毎年フクロウが栄巣をする。 しかしこの日は確認できず。 しぶとく待つ、ということ…

ウミネコ

私の名前はとりのとり子。 完璧なアシスタントを理想とするが、現実はそうはいかない。 持って生まれたどんくささは、もう直らないのだ。 日御碕に、ウミネコを撮影に行った。 すごい数のウミネコだ。かもめのような鳥だ。 『ミャー、ミャー、と猫のような鳴…

カエルしゃぶしゃぶ

とり子は野鳥写真家の先生のアシスタント。体力はあるけど、どんくさい。 こんなとり子をアシスタントとして見てくれる先生は、変わり者だろう。 いや、アシスタントにまで上がっていない。アシスタントの、見習いだ、と言われてしまった。 5月、GWは見島…

ミサゴの巣とカラス

私はとりのとり子。先生は有名な野鳥写真家だ。 野鳥の見れるポイントや、栄巣、子育ての時期に合わせて全国の色んな場所にでかける。 GWは撮影のため「見島」で過ごした。 周囲22kmほどの小さな島に、渡り鳥が休憩に立ち寄るスポットだ。普段見られない珍…

トラクターとアオサギ

私の名前はとりのとり子。 野鳥写真家の先生のアシスタントとしては、まだまだ未熟だ。 今朝、とり子の部屋の、まん前の田んぼを、トラクターが行ったり来たりしていた。 トラクターのあとを鳥たちが歩いて追いかけている。からす、ムクドリ、アオサギだ。 …

青野ダム ヤマセミとコーヒー

私の名前はとりのとり子。何をしてもどんくさい。 この私がアシスタントするんだから、拾う神あり、だ。 拾ってくれた神様は有名な野鳥写真家の先生。 5月。暑い。先生から『とり子くん、青野ダムへ行くよ』と連絡が入る。 青野ダムでヤマセミの撮影だ。 約…