トラクターとアオサギ
私の名前はとりのとり子。
野鳥写真家の先生のアシスタントとしては、まだまだ未熟だ。
今朝、とり子の部屋の、まん前の田んぼを、トラクターが行ったり来たりしていた。
トラクターのあとを鳥たちが歩いて追いかけている。からす、ムクドリ、アオサギだ。
掘り起こされて出てきた虫を、捕まえては、食べている。
とり子は双眼鏡をのぞいた。じっくりアオサギでも見てみるかな。
アオサギは、慣れているのかトラクターのタイヤのすぐ脇まで接近して、トラクターにぴったり付いて歩く。トラクターの前に回りこむことも。その度に、危ない!ととり子は思うけど、アオサギは上手くトラクターをかわすのだ。
サギは羽がきれいな鳥で、ながい羽は風が吹くとさらさらと揺れる。
先生の個展の作品の中にも、サギを撮った作品がある。
サギはさらり、さらりときれいな羽を揺らしながらせっせ、せっせと食事をしている。
とり子の視線を感じ取ったのか、野生の勘か、アオサギではなく、おじさんの方がとり子の視線に気づいた。あ~、やばい、やばい
おじさん、ちゃうちゃう、鳥、鳥見とるねん!