ミサゴの巣とカラス

私はとりのとり子。先生は有名な野鳥写真家だ。

野鳥の見れるポイントや、栄巣、子育ての時期に合わせて全国の色んな場所にでかける。

 

GWは撮影のため「見島」で過ごした。

周囲22kmほどの小さな島に、渡り鳥が休憩に立ち寄るスポットだ。普段見られない珍しい種類の野鳥も見ることができる。

しかしながら、島はほとんど手付かずの自然で、道が無い。広大な山で珍鳥に遭遇できるのも、ラッキーなのだ。

ここ数年は気温の変化のせいか、見られる鳥が少ないとも聞く。

先生は滞在中、岬からの、ミサゴの栄巣を中心に撮影していた。

この日、いつも巣にいるミサゴがいなかった。親鳥の留守を狙って、1羽のカラスがやってきた。先生も、とり子も、なんだか嫌な気配がして、見ていた。

カラスは巣の中をゴソゴソ探りはじめた。『あっ!!』

カラスは、オレンジ色の、ピンポン玉ほどの卵をくわえ、飛び立った。

大事な卵を、盗まれてしまった。。悔しがっていると、またすぐカラスが戻ってきた。

残りの卵も持っていこうとしているに違いない。どうしよう!!

そう思った瞬間、先生がカラスに向かって怒鳴りだした。

『こら~!!やめろ、やめろ、こら~!!しっ、しっ、しぃ~っ!!』

岩場のミサゴの巣から、50m離れた岬のてっぺんで、先生は真剣だった。

カラスは、何かを感じ取ったのか?何も盗らずに飛んでいった。

『とり子くん、見たかい!追い払ったぞ!!!』

カラスはカラスだ、と思っているとり子は、まだまだ未熟だ。

先生が追い払ったのか、よくわからない。。。