ライバルは26才

とり子は写真家の先生のアシスタントをしながら、もう一つ仕事をしなければならない。

おばさんなのに、フリーターだ。のんきな人生だ。気持ちは切羽詰っているのだけど。ちょっと背伸びをして就職活動に励む。もう、若くないのだし、何でもできるというわけにもいかない。自分の能力やその伸び代に限界を感じる中で、安定した就職先を選び、すでに3社から落とされている。

ふんだ。

そして、本日も面接だ。行けば一緒に面接を受ける人がもう1人いて、若い。

なんだよ~・・・いきなりやる気をなくす面接となってしまった。

面接官は二人、その女子にあれこれと質問をした。そのあと、オマケのようにとり子にも同じ質問をした。女子は熱く、なれた感じで的確に答え、とり子は手短に適当なことを言った。

そして次の日、まさかの私に採用の連絡が入ったのだ。

『はい?』とり子は不採用と思っていたので、このラッキーを聞いたときは信じられなかった。そっか~♪見る目ある~う!

先生は恵比寿神社でとり子の就職を祈願しておいてくれたそうだ。

『とり子くん、ぼくの祈願が利いたね~』

先生は得意気だ。でも、本当にそう思う。

事務の経験も無い中年女が、この辺りでは大きな規模の会社の、総務課に就職が決まったのだから。

私を選んで良かったと思ってもらえるようにがんばろう。

本日はとってもいいこと、起きました。