ひばりの巣発見
とりのとり子。野鳥カメラマンの先生のアシスタント見習いだ。
新緑も濃くなり始める6月。
徳島県のとある神社にフクロウの撮影に行った。
神社の境内に大きな木があって、毎年フクロウが栄巣をする。
しかしこの日は確認できず。
しぶとく待つ、ということが苦手な先生は、あっさりあきらめるとすぐにポイントを変える。それはそれでまた違う出会いがあり、昔からの先生のやり方みたい。
先生は広い河川敷をようやく撮影ポイントに決めた。
ヒバリがたくさん、気持ちよさそうにホバリングしている。
『ここはヒバリの楽園だなあ。とり子くん、ひばりはこんな原っぱの草むらに巣を作るよ。探してみるかい?』
これは、しばし撮影に没頭したいのか、『探してくれ』なのだろう。
『はい、探してみます』
遠くをトラクターが草ぼこりをあげて地面を掘っているのが見える。
先生は三脚を立てて、何やら撮っている。
よし、ヒバリの巣を探すかな。
そして、程なくして本当にヒバリの巣を見つけてしまった。ウズラの卵のような、ヒバリの卵が3つ。うまく草の陰に隠れている。本当に、一度この場を離れたら、もう探せないだろう。
『先生、せんせ~、ありましたよ、巣が!』
『やあ~、すごいね、とり子くん。流石だなあ。ヒナがかえる頃に、撮影に来よう。』
頭を使わないところで活躍できてしまう、とり子なのであった。